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統合失調症とエキソーム解析:エキソーム塩基配列決定が示す統合失調症の新規突然変異説

Nature Genetics 43, 9 doi: 10.1038/ng.902

高い遺伝率にもかかわらず、多くの統合失調症患者は家族歴をもたない(散発性症例)。本論文では、散発性症例53例、対照22例、さらにそれぞれの両親のエキソームの塩基配列を決定することで、稀に新規(de novo)に生じるタンパク質を変化させる突然変異が、統合失調症発症の遺伝要因に寄与している可能性を調べた。その結果、27の症例で、40の遺伝子に影響を及ぼす40種類の新規突然変異が見つかった。その中にはDGCR2を破壊している可能性がある変異が含まれていた。DGCR2は統合失調症の発病素因となる、22q11.2の微細欠失領域に位置する。遺伝継承される稀な変異との比較から、同定された新規突然変異が統合失調症症例においてきわめて多数の非同義置換を引き起こしており、タンパク質の構造や機能に影響を及ぼす可能性が高いことが示唆された。今回の実験成果は、統合失調症発症における新規突然変異の重要な役割を示すとともに、変異が生じうる多数の標的の存在を示唆している。これらのことは、この疾患の世界規模での発生率と持続性の高さを説明していると考えられる。

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