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関節リウマチ:骨髄細胞のA20(TNFAIP3)欠損は関節リウマチに類似した多発性関節炎を引き起こす

Nature Genetics 43, 9 doi: 10.1038/ng.874

A20(TNFAIP3)は、特定の炎症誘発性刺激に応答してさまざまな細胞種において活性化されるNF-κBシグナル伝達経路を、負にフィードバック調節しているタンパク質であり、これをコードする遺伝子は関節リウマチの病因遺伝子であると考えられている。本論文では、A20の関節リウマチ発症への関与を明らかにするために骨髄細胞特異的A20欠損マウスを作出し、骨髄細胞特異的にTnfaip3を破壊すると、関節リウマチの症状の多くを呈する高度破壊性多発性関節炎が自生的に発症することを示した。骨髄A20欠損マウスにおいては血清中の炎症性サイトカイン濃度が高く、これと一致して、欠損マウスのマクロファージではNF-κB活性化が持続され、TNF産生が高まっていた。ここで、骨髄A20ノックアウトマウスで認められる破壊性多発性関節炎の発症は、TLR4-MyD88およびIL-6に依存していたがTNFには依存していなかった。また、骨髄A20欠損マウスでは、破骨細胞形成の増進が見られた。今回得られた知見は、関節リウマチ発症においてA20が果たす重要かつ細胞特異的な機能を示唆するものであり、細胞標的治療としてのA20調節薬開発の着想の正しさを裏付けるものである。

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