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クロマチン:多能性細胞のCTCFを介したクロマチンの機能的なインタラクトーム

Nature Genetics 43, 7 doi: 10.1038/ng.857

哺乳類のゲノムは時間的、空間的な遺伝子調節が調和した機能的な構造体として見ることができる。最もよく研究されたインシュレーター結合タンパク質であるCTCFは、ゲノムを構築する鍵となる役割を果たすと示唆されている。しかし、CTCFに関連したクロマチンの高次構造の全体像についてはほとんど解明されていない。この論文では、多能性細胞のCTCFクロマチンインタラクトーム(相互作用ネットワーク)を明らかにするために、ChIA-PET
(ペアエンドタグクロマチン相互作用解析)塩基配列決定法を用いた。この解析により、シスに働く相互作用座位を1,480個、また、トランスに働く相互作用座位を336個、正確に再現性をもって同定することができた。これらのクロマチン座位を、背後に隠されているエピジェネティックな状態、プロモーター活性、エンハンサー結合、および核ラミナへの占有と結びつけることにより、クロマチン構造と転写制御におけるCTCF機能の新しいモデルとなる可能性をもつ5つのクロマチン領域が明らかになった。特に、CTCF相互作用は、クロマチン-核膜の結合の区切りとなること、プロモーターと調節配列の間の広範なクロストークを通じて適切な遺伝子発現に影響することがわかった。この、高度に複雑な核の構造から、ゲノムの可塑性と機能を統括している統一的な原理が推察できる。

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