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ヒストンのメチル化:シロイヌナズナのREF6はヒストンH3の27番目のリシンの脱メチル酵素である

Nature Genetics 43, 7 doi: 10.1038/ng.854

ポリコームグループ(PcG)を介したヒストンH3
の27番目のリシンへの3個のメチル化(H3K27me3)は遺伝子の抑制と発生の調節の鍵となっている。植物ではH3K27me3が積極的に除去されているという証拠もあるが、それがどのようにして起こるかは知られていない。ここではJMJ12(十文字ドメインを持つタンパク質12)とも呼ばれるREF6(比較的早期の開花6)タンパク質が、特異的にH3K27me3とH3K27me2の脱メチルを行っていることを示す。一方、後生動物でこれに対応するタンパク質KDM4は、H3K9とH3K36の脱メチル酵素である。REF6遺伝子を過剰発現している植物はH3K27me3を介した遺伝子のサイレンシングに欠陥のある変異株とよく似ている。遺伝学的な相互作用を調べるテストではREF6はH3K27me3メチル基転移酵素の下流で作用することを示している。REF6遺伝子の変異は本来の場所ではないところで発現が起こり、H3K27me3のレベルが上昇し、発生のパターン形成を調節したり、さまざまな刺激の応答にかかわったりする何百の遺伝子のmRNAの発現を減少させている。この研究から、植物と後生動物ではH3K27me3 を動的に調節する保存された仕組みが使われているが、用いられる酵素のサブファミリーは異なっていることがわかった。

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