Article

非コードRNA:細胞周期関連遺伝子プロモーター内の広範囲で、協調した非コードRNAの転写

Nature Genetics 43, 7 doi: 10.1038/ng.848

外部刺激に反応して、遺伝子調節領域中の長い非コードRNA(lncRNA)が転写され、遺伝子の活動を調節することがあるが、その範囲や機能についてはよくわかっていない。56個の細胞周期関連遺伝子のプロモーターを並べた超高密度アレイを用いて、種々の刺激を加えた108個の試料を調べた。その結果、lncRNAをコードしていると推定される216個の転写領域を同定した。そのうちの多くは、細胞周期に応じて周期的に発現されることがRT-PCRによって確認された。またこの領域はヒトのがんで発現が変化しており、特定の発がん刺激、あるいは幹細胞分化、DNA損傷により発現が調節されている。DNA損傷によりCDKN1Aプロモーターから5つのlncRNAが誘導され、それらのうちの1つであるPANDAと名づけられたlncRNAはp53依存的に誘導される。PANDAは転写因子NF-YAと相互作用し、アポトーシス促進性遺伝子の発現を制限する。すなわち、PANDAの欠失により、ドキソルビシンによるヒト線維芽細胞のアポトーシス誘導が顕著になる。これらの結果は細胞増殖の制御にプロモーターlncRNAが広く役割を担っていることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度