Technical Report

発現調節:トランスポゾン関連センサーによるマウスゲノムの発現調節構造の大規模解析

Nature Genetics 43, 4 doi: 10.1038/ng.790

この論文では、哺乳類の染色体の調節構造を生体内で研究する簡単で効率的な方法となるトランスポゾンSleeping Beautyにもとづく転位システムについて述べる。この系を用いて、ゲノム上のランダムな位置に制御センサーを挿入した数百のマウスや胚を作製した。こうしたゲノムの大規模なサンプリングにより、染色体上の長い領域にわたる転写制御活性が広く存在し、個別の組織に特異的な発現能を持つ相互に重複するブロックが形成されていることが示された。多様な発現パターンを示す遺伝子近傍に、組織に限定された調節活性があるという事実は、ゲノム調節についての遺伝子中心説に反するもので、大部分の遺伝子は組織特異的に発現が修飾されている可能性を示す。Sleeping Beautyの局所跳躍はこれらの制御ドメインを高精度でマッピングし、Creによる組換えと組みあわせて、特異的な染色体組換えによるマウスの遺伝子操作によってその機能を明らかにするという動的なアプローチが可能になる。

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