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マイクロRNA:IRGMの同義多型によってmiR-196の結合部位が変化し、クローン病のIRGM依存的ゼノファジーの脱調節が引き起こされる

Nature Genetics 43, 3 doi: 10.1038/ng.762

複雑な炎症性疾患であるクローン病へのかかりやすさは、多くの遺伝子座のありふれた配列変化の影響を受ける。IRGMにおけるエキソン内のありふれた同義SNP(c.313C>T)は、欠失多型と強い連鎖不平衡がみられるが、IRGMタンパク質の配列やスプライス部位に変化を与えないことから、疾患の原因ではないとされている。本論文では、マイクロRNA(miRNA)ファミリーに属するmiR-196が、クローン病の人の腸上皮炎症部位に過剰発現しており、IRGM防御多型variant(c.313C)の発現を低下させるが、リスク関連対立遺伝子(c.313T)の発現を低下させないことを示す。その後、IRGM発現の厳密な調節がなくなると、クローン病に関連する付着侵襲性の大腸菌(Escherichia coli)の細胞内複製のオートファジーによる制御が障害される。これらの結果から、IRGMとクローン病の関連は、miRNAを基盤とするIRGM調節の変化から生じ、これがオートファジーの効率に影響を与え、その結果、同義多型が原因の配列変化となる可能性が考えられる。

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