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ミトコンドリア:TTC19の突然変異はミトコンドリア
複合体IIIの欠損を引き起こし、ヒトおよびハエの神経学的異常の原因となる

Nature Genetics 43, 3 doi: 10.1038/ng.761

ミトコンドリア呼吸鎖複合体III(cIII)単独欠損の患者では、CYTB(シトクロムb)もしくはBCS1Lにおける変異が報告されているが、大半のcIII欠損患者の遺伝要因はいまだ明らかになっていない。今回、重度のcIII欠損およびcIII特異的なアセンブリ中間体の蓄積を伴う進行性脳症の患者の2家系において、テトラトリコペプチド反復含有タンパク質19をコードする遺伝子(TTC19)にホモ接合性ナンセンス変異を同定した。さらに、第二のホモ接合性ナンセンス変異を4人目の患者において見つけた。続いて、TTC19が2種類の高分子量タンパク質複合体の構成タンパク質として、ミトコンドリア内膜に埋め込まれていることを明らかにした。このタンパク質複合体の1つはcIIIと一致する。そして免疫共沈降によって、TTC19とcIIIが物理的に相互作用することを示した。また、ショウジョウバエのTTC19ノックアウト変異体を作出し、cIII欠損に伴い、低妊性、成虫発症型自発運動障害、機械刺激および高周波電気刺激に対する感受性を呈することを観察した。TTC19はcIIIアセンブリ因子であり、その結果、遺伝子破壊によってヒトおよびハエでは重篤な神経学的異常が認められると考えられる。

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