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胃がん:エキソーム塩基配列決定により、ある種の分子的亜型の胃がんにおいてARID1Aの変異が高い頻度で見つかった

Nature Genetics 43, 12 doi: 10.1038/ng.982

胃がんは、多数の環境要因やがんに至る種々の経路をもつ異質性のある疾患である。TP53の変異以外では、ほかの遺伝子や経路の変化は、ごく一部の胃がんの原因でしかない。我々は22名の胃がん患者検体に対してエキソーム塩基配列決定を行い、これまでに報告のない遺伝子の変異と経路の変化を同定した。特に、クロマチン修飾にかかわる遺伝子が共通して変異していることを発見した。検証研究において、SWI-SNFクロマチンリモデリングファミリーをコードする、ARID1Aの不活化変異またはタンパク質欠損が頻繁に認められ、その割合はマイクロサテライト不安定性(MSI)を伴う胃がんの83%、EBウイルス(EBV)感染を伴う胃がんの73%であり、EBV感染を伴わずマイクロサテライト安定性(MSS)を示す胃がんの11%であった。ARID1Aの変異スペクトラムは、胃がんの分子的亜型間で異なっており、有変異率はTP53の変異と負の関連があった。臨床的には、ARID1Aの変異は、ステージとは独立に、よりよい予後と関連していた。これらの結果は、ゲノムの全体像を明らかにし、胃がんの分子的分類においてクロマチンリモデリングの重要性に光を当てるものである。

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