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パーキンソン病:HLA領域の頻度の高い遺伝子変異は晩期発症型孤発性パーキンソン病と関連がある

Nature Genetics 42, 9 doi: 10.1038/ng.642

パーキンソン病はよくみられる疾患で、運動障害および認識障害を引き起こす。NeuroGenetics Research Consortium(NGRC)で収集されたパーキンソン病患者2,000名(症例)と健常者1,986名(対照)に対して、ゲノムワイド関連解析を行った。その結果、SNCAおよびMAPTにおける関連を確認し、GAKでの関連(NGRCのデータとこれまでの解析データを使用。P=3.2×10−9)が再現解析から明らかになった。さらに、HLA領域における関連(NGRCのデータのみを使用。P=2.9×10−8)が新たに検出され、この関連は2つのデータセットで再現性(メタ解析のP=1.9×10−10)が確かめられた。HLAとパーキンソン病との関連は、遺伝リスク層や環境リスク層に関係なく一様に観察され、孤発性(P=5.5×10−10)および晩期発症型(P=2.4×10−8)で強い関連がみられた。HLAにおける関連シグナルのピークは、HLA-DRAの非コード領域の変異であるrs3129882に存在した。これまでの2種類の解析から、rs3129882がHLA-DRおよびHLA-DQの発現に影響を与えることが示唆されている。パーキンソン病患者の脳では、DR抗原のレベル上昇と、DR陽性反応性ミクログリア(小神経膠細胞)の存在が観察されている。さらに非ステロイド性抗炎症薬によって、パーキンソン病発症リスクが減少することが知られている。パーキンソン病とHLAとの関連が明らかになったことで、この疾患における免疫系の関与が裏づけられ、薬剤開発のための新たな標的が提示された。

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