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稀な変異と複雑な疾患:高トリグリセリド血症のゲノムワイド関連解析から同定された遺伝子に過剰に存在する稀な変異

Nature Genetics 42, 8 doi: 10.1038/ng.628

血漿脂質濃度に関連する多数の遺伝子座が、ゲノムワイド関連解析(GWAS)により同定されている。そのような遺伝子座の頻度の高い変異の影響を合計しても、各脂質形質にみられる変化の10%未満を説明するにしかならない。個々に大きな効果をもつ稀な変異も、脂質形質の遺伝率に寄与する可能性がある。しかし、稀な変異が脂質表現型にどの程度の影響を与えるのかは、まだ明らかになっていない。本論文では、高トリグリセリド血症(HTG)の人には、GWASによって同定された遺伝子に稀な変異が蓄積していること、つまり変異の歪み(a mutation skew)がみられることを示す。GWASによって、APOA5GCKRLPL、およびAPOBに、HTGに関連する頻度の高い変異を同定した。これらの遺伝子の再塩基配列決定によって、対照327人における53個の変異と比較して、HTGの438人には、154個の稀なミスセンス、あるいはナンセンス変異の有意な負荷があることがわかった(P=6.2×10−8)。これは、罹患者の28.1%および対照の15.3%の保因者頻度に相当する(P=2.6×10−5)。これらの遺伝子に存在する稀な変異を相加的に考えると、HTGに寄与する遺伝的変異の割合が増加した。

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