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細胞極性:VIPARの突然変異は、上皮細胞の極性形成の異常を伴う関節拘縮-腎機能不全-胆汁鬱滞症候群の原因となる

Nature Genetics 42, 4 doi: 10.1038/ng.538

関節拘縮-腎機能不全-胆汁鬱滞症候群(ARC)は肝細胞や腎細胞の極性に異常をきたした全身性疾患である。ARCのほとんどの症例は、VPS33Bに生じた突然変異によって引き起こされている。今回、VPS33Bに変異がみられないARC患者において、VIPARC14ORF133ともいう)に突然変異が存在することを見つけた。そして、VIPARはVPS33Bと複合体を形成して機能しており、この複合体がRAB11Aと相互作用することを見いだした。ゼブラフィッシュのviparをノックダウンすると、ARC患者で観察されるのと同様の、胆汁排泄とEカドヘリン発現において異常が生じた。Vipar欠損マウスおよびVps33b欠損マウスの腎髄質内層集合管(mIMDC-3)細胞では、膜タンパク質の発現の異常や、密着結合(タイトジャンクション)の構造的・機能的異常がみられた。ここで、Ceacam5の発現の異常はタンパク質のソーティングが正常に行われずにリソソームによって分解を受けた結果であるが、Eカドヘリン量の減少は転写活性の低下を伴っていた。したがって、VPS33B/VIPAR複合体は、肝臓や腎臓の細胞でみられる頂端側-側底側における極性を調節する経路において、多彩な機能を発揮していることが示された。

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