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フォルミン遺伝子:フォルミン遺伝子INF2の変異は巣状性分節性糸球体硬化症を引き起こす

Nature Genetics 42, 1 doi: 10.1038/ng.505

巣状性分節性糸球体硬化症(FSGS)は、突発性の所見として、または原因となる全身症状の結果として観察される、腎損傷の病態の1つである。突然変異が生じると、遺伝性のFSGSやその関連ネフローゼ症候群を引き起こす遺伝子がいくつか同定されている。このような知見は、糸球体足細胞の機能や疾患についての理解を急速に進ませ、さらなるFSGS疾患遺伝子を探し出す動機づけとなった。本論文では、連鎖解析を用いて、常染色体優性FSGSに対する感受性座位を染色体14q上に同定したので報告する。この領域に存在する複数の遺伝子の塩基配列を決定したところ、アクチン調節タンパク質であるフォルミンファミリー構成タンパク質をコードしているINF2に、互いに関連性のない9種類の非保存的ミスセンス変異が見つかった。これらの変異はすべて、INF2のdiaphanous阻害ドメイン内に存在し、血縁関係のない11の家系においてFSGSとともに分離し、高度に保存されるはずのアミノ酸残基を変化させることがわかった。糸球体足細胞で発現するフォルミンタンパク質の変化によってFSGSが引き起こされるという今回の知見は、足細胞の機能にはアクチン重合が微調節されていることが重要であることを強調するものである。

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