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ヌーナン様症候群:SHOC2の変異はタンパク質の異常なN-ミリストイル化を促進し、成長期脱毛を伴うヌーナン様症候群を引き起こす

Nature Genetics 41, 9 doi: 10.1038/ng.425

N-ミリストイル化とは、N末端の必須のグリシン残基にミリストイル基を付加することで、翻訳と同時に起こるタンパク質の脂肪酸アシル化の一般的な反応である。RAS-MAPKシグナル伝達経路を正に調節し、ロイシンが豊富な反復配列を含むタンパク質であるSHOC2の異常なN-ミリストイル化の獲得が、神経・心臓・顔面・皮膚疾患の家系の臨床的な特徴となる病状の原因となることを示す。これまでに成長期脱毛を伴うヌーナン様症候群(MIM607721)とされた比較的一貫した表現型をもつ25人の被験者は、SHOC2にN-ミリストイル化部位を導入する4A>Gのミスセンス変異(S2Gアミノ酸置換となる)を共有していた。この結果、SHOC2が細胞膜に標的される異常がみられ、増殖因子で刺激した場合に、核への移行が低下した。in vitroでSHOC2S2Gを発現させると、細胞のタイプに特異的な方法でMAPKの活性化が高まった。線虫(Caenorhabditis elegans)においてSHOC2S2Gを誘導すると、陰門の突出が引き起こされた。これは、これまでに異常なシグナル伝達との関連が示された新形態の表現型である。これらの結果は、タンパク質のN末端の脂質修飾の獲得がヒトの疾患を引き起こす最初の例であることを示すものである。

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