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大腸がん:大腸がんの素因となる頻度の高い染色体8q24上の一塩基多型rs6983267は、Wntシグナルの増強を引き起こす

Nature Genetics 41, 8 doi: 10.1038/ng.406

染色体8q24上にあるrs6983267のG対立遺伝子がホモ接合性の場合、大腸がん(CRC)のリスクを約1.5倍上昇させる。リスク対立遺伝子のGはCRCの発達の途中でコピー数の増加を示す。我々が開発したコンピュータアルゴリズムである「エンハンサー部位ローケータ(EEL)」により、rs6983267を含むエンハンサー領域を同定した。この領域のレポーター遺伝子の発現は、CRCの鍵となる経路であるWntによる制御と同じパターンを示した。rs6983267はWntによって制御される転写因子TCF4との結合に影響を与え、リスク対立遺伝子であるGはin vitroおよびin vivoでより強い結合を示した。ゲノムワイドChIPアッセイによって、この領域はMYCの1Mb以内で最も強いTCF4の結合部位であることがわかった。rs6983267遺伝子型とMYCの発現の間に明らかな相関は認められず、このエンハンサーのすべての標的を詳細に調べるにはさらなる労力を要する。本報告は、染色体8q24にある頻度の高いCRC素因がWntシグナルに対する反応性の増強によって生じるという証拠を提示する。

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