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血液疾患:COPIIコートの構成タンパク質SEC23Bの変異は先天性赤血球異形成貧血II型を引き起こす

Nature Genetics 41, 8 doi: 10.1038/ng.405

先天性赤血球異形成貧血(CDA)は、その表現型も遺伝子型も多様な疾患である。CDAII型(CDAII)は、CDAのうち最も高頻度に出現する。この疾患は、赤血球形成に質的異常が見られたり(無効造血)、また、大きさやDNA量の等しい核をもち、細胞質分裂に支障があることを示唆する二核赤芽球もしくは多核赤芽球が骨髄において認められたりすることを特徴とする。末梢血での赤血球細胞では、タンパク質と脂質への糖鎖付加の異常や、小胞体二重膜の残滓が特徴的に観察される。赤血球以外の造血系細胞の分化・成熟は正常である。CDAII患者は、進行性の巨脾、胆石、鉄過剰を呈し、肝硬変や心不全を伴うことがある。本論文では、CADII患者では、分泌型のCOPII構成タンパク質であるSEC23Bをコードする遺伝子に変異が生じていることを示す。さらに、短鎖のヘアピン構造をとるRNA(shRNA)によってSEC23Bの発現を抑制すると、細胞質分裂が損なわれることを観察した。また、ゼブラフィッシュのsec23bをノックダウンしたところ、赤血球の分化・成熟の異常が生じた。今回の結果は、SEC23Bの赤血球分化への特異的な関与をin vivoにおいて示す証拠であり、SEC23AとSEC23Bは、高度に近縁の、ともに分泌型COPII構成タンパク質ではあるが、赤血球の成熟についての機能は重複しないことを明らかにするものである。

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