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形態形成:Wnt9bシグナル伝達は平面内細胞極性と腎尿細管の形態形成を調節する

Nature Genetics 41, 7 doi: 10.1038/ng.400

腎臓、肺、肝臓などの、脊椎動物器官の多くは、上皮細胞が作る管腔で構成されているが、これらの管腔の長さや管腔径が決定される機構はほとんど知られていない。腎臓では、尿細管径の確立あるいは維持の異常は、ヒトの最も一般的な遺伝性疾患の1つである多発性嚢胞腎と関連がある。本論文では、腎臓の形態形成過程でWnt9bシグナル伝達を減弱させると、上皮細胞の平面内細胞極性に影響があり、管腔径の増加した尿細管が生じることを示す。これまでの研究から、極性化細胞分裂によって出生後の腎尿細管径が維持されることが示されているが、我々は、胚発生過程ではランダムな方向に細胞分裂が行われることを見いだした。我々のデータから、管腔径は、収斂伸長過程によって形態形成の早期に確立され、極性化細胞分裂によって維持されることが示唆された。Wnt9bは、非カノ二カルWnt経路であるRho/Jnk経路を介するシグナルを伝えるが、この両過程に必要である。

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