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精巣胚細胞腫瘍:KITLGおよび5q31.3に高頻度で存在する変異は精巣胚細胞腫瘍の発症素因となる

Nature Genetics 41, 7 doi: 10.1038/ng.393

精巣胚細胞腫瘍(TGCT)の発症には遺伝的要因が強く関係するとされている。TGCT症例277例と対照919例を対象としたゲノムワイド関連解析を行い、12p22のKITLG(c-KITリガンド)内部に見つかった7つのマーカーがゲノム全域において有意性を示すことを明らかにした(スキャン解析:P<5.0×10−8)。ここで、別個の集団に対する再現解析を行ったところ、rs3782179およびrs4474514において、TGCT発症リスクが、メジャー対立遺伝子1コピーあたり、3倍に増加していた〔すなわち、それぞれの対立遺伝子のORは3.08(95% CI=2.29−4.13)と3.07(95% CI=2.29−4.13)であった〕。上記に加えて、5q31.3のSPRY4(sprouty 4)の近傍に存在するrs4324715とrs6897876と、TGCTリスクとの関連を見いだした(スキャン解析:P<5.0×10−6)。再現解析では、リスクはメジャー対立遺伝子1コピーあたりほぼ40%増加していた〔各対立遺伝子のORは1.37(95% CI=1.14−1.64)と1.39(95% CI=1.16−1.66)〕。これらの遺伝子型は例外なく、TGCTの亜型であるセミノーマと非セミノーマの両方に関連を示した。本研究成果は、頻度の高い遺伝子変異がTGCT発症リスクに影響を及ぼすことを明らかにし、KITLGおよびSPRY4がTGCTに対する感受性にかかわる遺伝子であることを示すものである。

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