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神経:Kif1bは、オリゴデンドロサイトにおけるmRNAの局在化と、ミエリン膜で覆われた軸索(有髄軸索)の形成に必須である

Nature Genetics 41, 7 doi: 10.1038/ng.376

キネシンモータータンパク質Kif1bはこれまで、ミトコンドリアやシナプス小胞の軸索輸送に関係があるとされてきた。最近になって、KIF1Bと多発性硬化症(MS)感受性との関連が報告された。本論文では、ゼブラフィッシュのKif1bが、ミエリン塩基性タンパク質(mbp)のmRNAがミエリン膜生成中のオリゴデンドロサイトの突起へと局在化するのに必要であることを示す。kif1b変異型ゼブラフィッシュでは、ミエリンタンパク質がオリゴデンドロサイトの細胞体に局在化すると同時に、ミエリン様膜が通常とは異なる領域に出現していた。この結果は、オリゴデンドロサイトが、特定のmRNA分子、たとえばMBPなどの低分子の塩基性タンパク質をコードしているmRNA分子を局在化させることで、これらのタンパク質が細胞の他の場所に存在するために生じる異常を起こらないようにしていることを示唆するものである。さらに、Kif1bが末梢神経系および中枢神経系の、一部の最長軸索の伸展に必須であることも判明した。今回の結果は、これまでは不明であった、in vivoにおけるkif1bの機能を明らかにし、kif1bがMS発症に果たす役割についての手がかりを与えるものである。

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