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前立腺がん:ERGの異常な発現はPTENの欠損と協調して前立腺でがんの進行を促進する

Nature Genetics 41, 5 doi: 10.1038/ng.370

ERG遺伝子座のかかわる染色体転座はヒト前立腺がんの病因として頻繁にみられる。しかし、異常なERGの発現についての生物学的な役割に関しては、意見の一致をみていない。本報告では、ERGの発現の異常が前立腺の腫瘍形成の進展に関わっていることを示す。TMPRSS2-ERGの再構成がみられる前立腺がんの標本では、がん抑制遺伝子産物PTENの欠損がきわめて多いことがわかった。これらの発見とよくあうように、遺伝子導入によりマウスの前立腺組織でERGを過剰に発現させると、Pten遺伝子のヘテロ接合体の場合には、前立腺上皮内高度腫瘍形成(HGPIN)の腺がんへの進展の顕著な加速がみられた。in vitroでのERGの過剰発現は、増殖に影響することなく、発がんに必要な性質である細胞の移動を促進する。細胞の移動に強くかかわっている候補となる2遺伝子ADAMTS1CXCR4は、ERGの過剰発現のもとでは、発現が上昇するように調節されていた。このようにERGは前立腺がんの進行に明らかな役割を果たしており、PTENのハプロ不全と共同して、HGPINの侵潤性腺がんへの進行を促進している。

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