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メラノーマのモデルマウス:BrafV600EPtenの喪失と協調して転移性メラノーマを誘導する

Nature Genetics 41, 5 doi: 10.1038/ng.356

BRAFの変異による活性化はヒトのメラノーマにおいて最も早期にみられる最も一般的な遺伝的変化である。ヒトのメラノーマのモデルを構築するために、コンディショナルにメラノーマ特異的にBRafV600Eを発現するマウスを作製した。BRafV600Eの発現誘導によって、マウスには良性のメラノサイト過形成が生じたが、15〜20カ月の間にはメラノーマに進展しなかった。対照的に、Ptenがん抑制遺伝子をサイレンシングし、BRafV600Eを発現させると、100%の浸透率で、発生までの期間が短いメラノーマが生じ、またリンパ節や肺に観察される転移が引き起こされた。メラノーマはmTorc1の阻害剤(ラパマイシン)あるいはMEK1/2の阻害剤(PD325901)によって防止されたが、薬剤投与を中断すると、マウスはメラノーマを発症したことから、この系では長期間にわたってメラノーマ開始細胞が存在することが示される。特に、ラパマイシンとPD325901との併用治療によって、確立されたメラノーマの退縮が引き起こされた。このようなマウスは、ヒトのメラノーマと共通する遺伝的特性をもつように操作されているので、メラノーマ転移の主要な特徴を研究する系、および転移性疾患の予防あるいは治療を目的とした薬剤の前臨床評価のための系として用いることができる。

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