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B型肝炎:ゲノムワイド関連解析によって同定されたアジア人のB型慢性肝炎と関連するHLA-DP遺伝子座の遺伝的多型

Nature Genetics 41, 5 doi: 10.1038/ng.348

B型慢性肝炎は重篤な感染性肝臓疾患であり、肝硬変や肝細胞がんへとしばしば進行する。ところが、ウイルス感染後の臨床経過は患者によって非常に差がある。そこでまず、日本人のB型慢性肝炎患者786人と健常者2,201人に対して2段階のゲノムワイド関連解析を行い、HLA-DPA1およびHLA-DPB1を含む領域に、B型慢性肝炎と顕著な関連を示す11か所のSNPを同定した。さらに、患者1,300人と健常者2,100人からなる、先のものとは異なる、3つの日本人コホートおよびタイ人コホートを利用し、当該領域の2種類のSNPの遺伝子型とB型慢性肝炎疾患との関連の有意性を確認した(各SNPの全症例にもとづくP=6.34×10−39および2.31×10−38、OR=0.57および0.56)。引き続き行った関連解析によって、発症しやすい(リスク型)ハプロタイプ(HLA-DPA1*0202-DPB1*0501およびHLA-DPA1*0202-DPB1*0301。各OR=1.45および2.31)と、発症しにくい(低リスク型)ハプロタイプ(HLA-DPA1*0103-DPB1*0402およびHLA-DPA1*0103-DPB1*0401。各OR=0.52および0.57)が特定された。今回得られた知見から、HLA-DP遺伝子座に生じた遺伝的多型がB型肝炎ウイルスの持続感染のリスクに強く関連していることが示された。

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