Letter

心筋梗塞:アジア人の心筋梗塞発症リスクにかかわるBRAP内のSNP

Nature Genetics 41, 3 doi: 10.1038/ng.326

心筋梗塞は患者数の多い疾患で、世界的な死亡原因の上位を占めている。我々はこれまでに、日本人集団を対象とした心筋梗塞感受性についての患者対照関連解析から、ガレクチン2をコードしているLGALS2の多型が、この疾患発症に関連を示すことを報告した。今回は、ガレクチン2と結合するタンパク質として、BRAP(BRCA1結合タンパク質)を同定した。BRAPのSNPは、多人数の日本人コホートで心筋梗塞発症リスクに関連を示した(P=3.0×10−18、OR=1.48、患者2,475例+対照健常者2,778例)。この関連は、別の日本人コホートおよび台湾人コホートで確認された(それぞれ、P=4.4×10−6、患者862+健常者1,113;P=4.7×10−3、患者349+健常者994)。そして、ヒト冠動脈硬化病変領域の平滑筋(SMC)とマクロファージにおいてBRAPの発現が認められた。さらに、siRNAを用いて培養冠動脈上皮細胞におけるBRAPの発現を抑制すると、炎症反応制御に中心的な役割を果たすNF-κBの活性が阻害された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度