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脂質:30の座位の多型は多遺伝子性脂質異常症の原因となる

Nature Genetics 41, 1 doi: 10.1038/ng.291

血液中の低比重リポタンパク質(LDL)コレステロール、高比重リポタンパク質(HDL)コレステロール、トリグリセリドの濃度は、心血管疾患のリスク因子である。このような形質に関係する多遺伝子性を詳細に調べるために、19,840人の脂質異常症患者を対象としたゲノムワイド関連解析、および最大で20,623人の患者に対して再現解析を行った。その結果、リポタンパク質の濃度に関連を示す30の異なる座位が同定された(各傾向に対してP<5×10−8)。そのうち、11の座位は今回初めてゲノムワイドでの有意な関連が明らかになったものである。これらの11の座位には、LDLコレステロール濃度に関連する多型がABCG8MAFBHNF1ATIMD4の近傍に、HDLコレステロールに関連する多型はANGPTL4FADS1-FADS2-FADS3HNF4ALCATPLTPTTC39Bの近傍に、トリグリセリドに関連する多型はAMAC1L2FADS1-FADS2-FADS3PLTPの近傍に存在している。高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリドに対する臨床治療上のカット値を上回る患者の割合は、当該対立遺伝子量のスコアにより異なっている(各傾向に対して、P<10−15)。本研究結果から、複数の多型が蓄積することで、多遺伝子性脂質異常症が発症することが示唆される。

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