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骨疾患:WTXの生殖細胞性突然変異は硬化性骨異形成を引き起こすが、腫瘍が生じる可能性を増しはしない

Nature Genetics 41, 1 doi: 10.1038/ng.270

WNTシグナル伝達経路の異常は、発生期の多岐にわたる形態形成の異常や、腫瘍形成に関与している。本論文では、WNTシグナル伝達の主要経路の抑制因子をコードしている遺伝子であるWTXFAM123B)に、生殖細胞において生じた突然変異が、X染色体連鎖性の、頭蓋骨硬化をともなう先天性線条性骨症〔osteopathia striata congenita with cranial sclerosis(OSCS; MIM300373)〕を引き起こすことを明らかにする。この疾患では通常、女性では骨密度の上昇および頭蓋顔面形成異常、男性では致死性が特徴的に観察される。マウスのWTXホモログは胎児の骨格で発現していた。そして、OSCS男性患者の生存には、選択的スプライシングによるWTXの細胞膜への局在化が関係していた。ここで、ウィルムス腫瘍の11〜29%においては、体細胞のWTXが不活性化されていることが示されている。OSCS患者では、このような突然変異が生殖細胞に生じているが、 腫瘍を生じやすい素因を示すわけではない。突然変異が生殖細胞のものなのか、あるいは体細胞で生じているのかによって決まる、表現型上のこのような不一致は、腫瘍形成に際してのWTXの作用機作に対して、時間的または空間的な制約が存在することを示唆するものである。

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