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生殖細胞の分化:Prdm14遺伝子はマウスにおける生殖細胞系列の確立に重要な機能を果たす

Nature Genetics 40, 8 doi: 10.1038/ng.186

生殖細胞の運命決定は、発生と遺伝における基本過程の一つである。最近の研究によると、マウスでは、始原生殖細胞(PGC)(発生過程で最初に現れる生殖系列の細胞で、卵子および精子の源となる)の決定は、3つの重要な事象が統合されて起こる。すなわち、体細胞プログラムの抑制、多能性の回復、ゲノム全体におよぶ後成的ゲノム修飾の再編成(エピジェネティックリプログラミング)である。本論文は、生殖細胞系列と多能性幹細胞だけで発現するPRドメインをもった転写調節因子、Prdm14が、この3条件のうちの2つ、すなわち多能性の回復とエピジェネティックリプログラミングに重要であるという遺伝学的証拠を示す。Prdm14遺伝子の変異体では、PGCの決定における主要な転写調節因子Prdm1(Blimp1ともいう)の存在下でさえ、この2つの過程が破綻することが示された。本論文で示される総合的結果から、Prdm14遺伝子は、Prdm1遺伝子の機能とは独立にその発現を開始し、生殖系列の発生開始を保証する新しい遺伝子経路を構成することが示された。

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