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選択的スプライシング:48のヒト組織や細胞株における24,426の選択的スプライシングの発現とシス調節の予測

Nature Genetics 40, 12 doi: 10.1038/ng.264

メッセンジャーRNAになる前段階で起こる選択的スプライシングは、発生、生理および疾患に影響を与えるが、ヒトでのその調節はあまりよくわかっていない。これは、特異的スプライシングが起こっているかどうかの測定が、限られた規模でしか行われていないことがその理由の1つだろう。本論文は、ヒトの選択的スプライシングがどのように起こっているかの概要をゲノム規模でとらえた初めての試みである。全転写産物のカスタムマイクロアレイを用いて、48の異なるヒト試料における24,426の選択的スプライシングについて測定した。11,700以上の遺伝子と9,500以上のスプライシングに発現の差が認められたことから、これはスプライシング調節を研究する優れた方法であることがわかる。21,760の4-merから7-merの塩基配列を対象に、シス調節性モチーフについて偏りなく系統的にスクリーニングし、調節を受けるカセットエキソン近くに豊富に存在する143のRNAの「単語」を明らかにした。この「単語」には、UCUCU、UGCAUG、UGCU、UGUGU、UUUUおよびAGGGで表される6つのモチーフクラスターが含まれるが、そのそれぞれの「単語」は、トランスに作用する調節因子である、PTB、Fox、Muscleblind、CELF/CUG-BP、TIA-1およびhnRNP F/Hの結合部位である。各クラスターはゲノム上の位置や組織特異性について異なるパターンを示した。例えば、UCUCUは、脳や横紋筋で発現が上昇するカセットエキソンの110〜35塩基上流に存在するが、他の組織では存在しない。UCUCU(カセットエキソンの5'側に存在)とUGCAUG(3'側に存在)は同様の機能をもつが、独立して機能を発揮するようである。骨格筋で発現が上昇するカセットエキソンでは、その33%の近傍にこのどちらかのモチーフクラスターが存在するが、2つともが近傍に存在するカセットエキソンは2%しかない。

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