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ミトコンドリアDNA:ミトコンドリアDNAの遺伝的ボトルネックはゲノムの亜集団が複製されて生じる

Nature Genetics 40, 12 doi: 10.1038/ng.258

哺乳類では、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の卵母細胞でのコピー数が高いにもかかわらず、その配列変異型mtDNAが世代間で速やかに分配されることが観察されている。この知見から、mtDNAの次世代への伝達に対して遺伝的ボトルネック効果という概念がもたらされたが、その機構については依然として議論を呼んでいる。いくつかの研究成果からは、ボトルネックが、胚発生期に、生殖細胞系列のmtDNAのコピー数が顕著に減少するために起こることが示唆されている。そして、野生型と変異型のmtDNAが混在しているヘテロプラスミーである母マウス由来の成熟卵母細胞においてmtDNAの遺伝子型の相違度が大きくなっているという観察は、着床前の時期、あるいは始原生殖細胞(PGC)が生殖腺に定着する以前に増殖する時期において、細胞分裂にともなって起こるmtDNAの分配のされ方が原因であると考えられている。ところがこうした見方には、ボトルネックが、生殖細胞系列におけるmtDNAの量が減ることなく起こることを示す研究結果から、異議が唱えられている。この不一致を解決するために、ヘテロプラスミー・マウスから単離した生殖細胞1つ1つについて、mtDNAがヘテロプラスミーであるかどうか、およびそのコピー数を測定した。今回、卵形成の過程において、mtDNAの遺伝子型の相違度がどのように大きくなっていくかを直接追跡することで、遺伝的ボトルネックが出生後の濾胞形成期に起こり、胚の卵形成期には起こらないことが明らかになった。

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