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免疫:アフリカ人にみられるKIR3DL1/S1ナチュラルキラー細胞受容体の稀な選択

Nature Genetics 39, 9 doi: 10.1038/ng2111

キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)と主要組織適合複合体(MHC)クラスIリガンドとの相互作用によって、ナチュラルキラー細胞が感染に対して多様な応答をするようになる。本論文では、さまざまなヒト集団で配列の変化を解析することにより、KIR3DL1/S1遺伝子座が、HLA-AおよびHLA-BのBw4エピトープを認識する2系統の抑制性KIR3DL1の多型アロタイプと、1系統の活性化型KIR3DS1の保存されたアロタイプ(これもBw4の認識に関与する)をコードすることを示す。300万年以上にわたりこの3つの系統のバランスが保たれた選択が維持されている。これらのバリエーションは、D1およびD2ドメインでHLAクラスIとの結合面に存在する残基および、KIR3DのHLAクラスIへの結合を高めるドメインであるD0に存在する2つの部位で選択されていた。対立遺伝子間の微小な遺伝子交換を介してBw4を得たHLA-Bのタイプもまた選択の産物である。世界的な比較研究によって、現代のサハラ以南のアフリカ人での稀なKIR3DL1/S1進化が明らかになった。バランスを保った選択は、D0に弱く、また限定して作用するので、KIR3DS1が稀な型および、同様の結合部位をもつKIR3DL1アロタイプが優性型となる。ナチュラルキラー細胞は、優性のKIR3DL1を高頻度かつ高い細胞表面密度で発現し、Bw4の発現が不安定な細胞に対して強力な応答を発揮する。

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