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RNAi:MEK-ERKシグナル伝達のRNA干渉阻害により、頭蓋骨早期癒合症のマウスモデルの異常な骨格症状を防ぐことができる

Nature Genetics 39, 9 doi: 10.1038/ng2096

ヒトにおける頭蓋骨縫合の早期癒合(頭蓋骨早期癒合症)は、100以上の骨疾患の原因となっており、新生児約2,500人に1人の割合で起こる。これらのうちの1つに頭蓋骨早期癒合症の中でも最も重症なタイプに属するアペール症候群があり、これは主として繊維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)においてS252WまたはP253Rのアミノ酸置換を引き起こすミスセンス変異によってもたらされる。我々はFgfr2の優性変異(Fgfr2S252W)を標的とする小さなヘアピンRNAが、マウスにおいてアペール様症候群を完全に阻止することを示す。正常のFGFR2シグナル伝達は、細胞外シグナル調整キナーゼ1および2(ERK1/2)の活性を変化させることによって回復させることができ、このことはERKをコードする遺伝子とその下流の遺伝子が病気の表現型に関与していることを意味している。さらに、変異マウスに、ERK1/2のリン酸化と活性化を阻害するマイトジェン活性化タンパク(MAP)キナーゼキナーゼ1と2(MEK1/2)の阻害剤であるU0126を投与すると、頭蓋骨早期癒合症が有意に阻止された。これらの結果は、頭蓋骨早期癒合症において、FGFR2のS252W置換によってERKの活性化が起こることが病態の原因であることを示すとともに、ヒトゲノムの機能獲得型変異により引き起こされる病気が、小さな分子による抑制にもとづいて予防および治療が可能であるという新しい概念を提示するものである。

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