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RAFシグナル伝達:RAF1の生殖細胞を介する機能獲得性変異はヌーナン症候群を引き起こす

Nature Genetics 39, 8 doi: 10.1038/ng2078

ヌーナン症候群は、低身長、顔面の異常および広範な先天性の心臓異常を特徴とする。RAS-MAPK経路のPTPN11KRASおよびSOS1の変異は、およそ60%のヌーナン症候群症例でその原因となっている。しかし、残りの40%の症例については原因となっている遺伝子(群)は明らかではない。本論文では、ヌーナン症候群患者10例において、RAF1の異なる変異5つを同定した。RAF1のCR2ドメインを変化させる4つの変異のいずれかをもつ人は、肥大型心筋症(HCM)であったが、一方、CR3ドメインを変化させる変異をもつ患者はHCMではなかった。ヌーナン症候群に関連するRAF1の変異を含んだコンストラクトを導入した細胞では、in vitroでのキナーゼ活性の亢進やERKの活性化が認められた。また、ゼブラフィッシュ胚でのモルフォリノを用いたraf1のノックダウンにより、正常な心筋構造やその機能の発達にraf1が必要であることが示された。したがって、我々の結果から、RAF1の機能獲得性変異がヒトの発達障害の原因に関与し、これがMAPK経路を活性化する新しい遺伝的機構であることがわかる。

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