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RAFシグナル伝達:RAF1の機能獲得性変異は肥大型心筋症をともなうヌーナン症候群およびLEOPARD症候群を引き起こす

Nature Genetics 39, 8 doi: 10.1038/ng2073

ヌーナン症候群とLEOPARD症候群は、相互に重複する特徴をもつ発達障害で、ともに心臓の異常、低身長、顔面の異常を示す。ヌーナン症候群の症例のおよそ60%の原因がPTPN11SOS1およびKRASの突然変異によるRASシグナル伝達の亢進であり、LEOPARD症候群の症例の90%の原因がPTPN11の突然変異である。本論文では、ヌーナン症候群であるが既知の変異が認められない231人のうちの18人(全患者の3%に相当する)と、LEOPARD症候群であるがPTPN11に変異を認めない6人のうち2人に、RAF1のミスセンス変異を見いだしたことを報告する。RAF1は、MEK1とMEK2を活性化するセリン・スレオニンキナーゼをコードしている。ほとんどの変異が、Ser259に隣接するモチーフを変化させるものであった。Ser259は、14-3-3との結合を介したRAF1の自己抑制に不可欠な残基である。一般的にヌーナン症候群である人の肥大型心筋症(HCM)の有病率は18%であるが、RAF1の2つのホットスポットのうちの1つに変異をもつ19人の被験者においては、その18人(あるいは95%)がHCMを示した。2つのHCMホットスポットに変異をもつ変異型RAF1を異所的に発現させると、キナーゼ活性が増加し、ERKの活性化が亢進したが、一方、HCMに関連しない変異型RAF1ではキナーゼ活性が低下していた。我々の知見はさらに、病理学的な心筋細胞肥大にRASシグナル伝達の亢進が関与することを示す。

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