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腎疾患:GLIS2の欠損はアポトーシスと繊維化を亢進させ、ヒトおよびマウスのネフロン癆の原因となる

Nature Genetics 39, 8 doi: 10.1038/ng2072

ネフロン癆(NPHP)は常染色体劣性腎疾患であり、30歳までに発症する、最も一般的な遺伝性の末期腎不全である。6つの既知のNPHP遺伝子のポジショナルクローニングから、NPHPの発症機序と一次繊毛の機能が関連づけられている。本論文では、ポジショナルクローニングとトランスジェニックマウスによって、それぞれヒトおよびマウスでNPHP様の表現型を引き起こすGLIS2の突然変異を同定した。Glis2変異マウスの腎は8週齢から重篤な腎の萎縮と繊維化を呈した。Glis2変異腎について遺伝子発現の変動を解析したところ、上皮間葉移行および繊維化を促進する遺伝子群の発現が、Glis2が存在しない場合には上昇することが明らかになった。このことから、Glis2がNPHPでは変異を生じている転写因子であることが確認され、アポトーシスと繊維化を阻害することにより、Glis2の果たす腎の組織構造を維持する重要な役割が示された。

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