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乳癌:染色体2q35と16q12上の共通変異によってエストロゲン受容体陽性型乳癌にかかりやすくなる

Nature Genetics 39, 7 doi: 10.1038/ng2064

家族内集積研究から、乳癌リスクのかなりの部分は遺伝的要因が占めることが示されている。本論文では乳癌のリスクに関連した新たな変異を特定するため、イルミナ(Illumina)社のHap300プラットフォームを用いて、アイスランド人の乳癌患者1,600人と健常人11,563人に対しておよそ300,000のSNPの遺伝子型決定を行った。続いて、特定のSNPを5つの同じような症例対照の標本セットにおいて検証した。全部で、4,554の症例と17,557の対照について詳しく調べた。その結果2つのSNPが常に乳癌に関連していた。すなわち、ヨーロッパ系の約25%は染色体2q35上のrs13387042の対立遺伝子Aについてホモ接合性であり、このような多型をもたないものに比べて乳癌のリスクがおよそ1.44倍に上昇する。16q12のrs3803662の対立遺伝子Tの場合には、およそ7%がホモ接合性で、1.64倍のリスクを示す。両対立遺伝子に起因するリスクはエストロゲン受容体陽性の腫瘍に限定されていた。現時点で、rs13387042が含まれる連鎖不平衡ブロック内に遺伝子は同定されていない。rs3803662は、TNRC9の5′末端の近傍に存在する。TNRC9は、クロマチン結合性の高移動度(HMG)タンパク質で、その発現は乳癌の骨への転移に関係している。

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