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miRNA:2連のマイクロRNAの過剰発現がもたらすトウモロコシの異時性変異株

Nature Genetics 39, 4 doi: 10.1038/ng2001

ネオテニーと呼ばれるプロセスは、成体の生殖段階で幼生形質が維持されることを特徴としており、それが新種の発生に寄与しているのかどうかは推論の対象となっている。トウモロコシの優性変異株Corngrass1Cg1)はネオテニー変異であり、草のようなトウモロコシの祖先がもっていたと考えられる表現型を示す。我々はCg1をクローン化し、それがコードする2連のmiR156遺伝子が分裂組織および側生器官で過剰発現していることを発見した。また、テオシントからトウモロコシへの栽培化に一役買ったことが知られている遺伝子、teosinte glume architecture1tga1)は、Cg1の標的である。miR156を過剰発現するCg1変異株は、幼時発生を制御する遺伝子を標的とするマイクロRNAであるmir172の発現量が小さい。両マイクロRNAの相対的発現量を変化させることにより、トウモロコシの幼時発生は延長させたり短縮させたりすることが可能であり、これによって自然界で種レベルの異時性変化を生ずる機構が説明される。

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