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低分子薬剤:酵母における低分子薬剤に対する反応の個体差の遺伝的基盤

Nature Genetics 39, 4 doi: 10.1038/ng1991

低分子薬剤に対する個人の反応はさまざまである。ある者にとって治療となる薬剤が他の者にとってはまったく治療的効果がなかったり、副作用を引き起こす可能性がある。そのような差異を系統的に理解するために、2種類の酵母をかけ合わせて得られた遺伝子型のわかった104の分離個体に対して、100種類の異なった低分子化合物ライブラリーを用いて処理した。連鎖解析を用いることにより、遺伝的マーカーと83化合物の反応との間に124の明らかな連鎖を同定することができた。連鎖マーカーは8つのゲノム領域、すなわち多くの低分子に対する反応に影響を与える多型を1つ以上含む量的形質座位の「ホットスポット」 にクラスターをなして存在していた。我々はまた、LEU2の欠失によって引き起こされるロイシン生合成欠損が、治療に使われているカルシウムチャンネルブロッカーと類似の構造をもつニグリジピンの感受性に関与していることや、無機リン酸トランスポーターであるPHO84のコード領域にある自然多型が、酸化的リン酸化を脱共役する2つのポリ塩化フェノールの感受性に関与していることを実験的に検証した。我々の結果は遺伝的に異なった個体における低分子薬剤の効果を系統的に理解する上での1つのステップを提供するものである。

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