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比較ゲノミクス:オーソログ関係にある遺伝子の翻訳効率の違いは酵母の種間での表現型の多様性に関与している

Nature Genetics 39, 3 doi: 10.1038/ng1967

比較ゲノミクスの大きな目標の1つは、種間の表現型の違いが、ゲノムにどのようにコードされているかを理解することである。表現型の多様性は、オーソログ関係にある遺伝子の転写の違いに起因している可能性がある。しかしながら、種間での翻訳の調節の違いが表現型の多様性に関与しているかどうかは、ほとんど知られていない。翻訳効率がいかに多様性に関与しているかを見積もるため、私たちは9つの酵母ゲノムについて、約2,800のオーソログ関係にある遺伝子を解析した。それぞれの種における各遺伝子について、tRNAプールにみられる生物種ごとのコドンの適応を見積もり、翻訳効率を予測した。このデータセットを探索することにより、多数の遺伝子や遺伝子モジュールが種をこえて翻訳効率と相関するパターンを示すことが明らかになった。単一のシグナルが全体のモジュールを包括し、酸化的呼吸か発酵のいずれかがおこり、好気性種もしくは嫌気性種のそれぞれで効率的に翻訳がおこった。加えて、mRNAスプライシング装置の翻訳効率は、さまざまなゲノム中でイントロンの数と強く相関していた。すなわち、遺伝子の機能や生物種の形質にしたがって、翻訳を調節する同義コドンの使用が著しく選択的におこなわれることがわかった。転写調節因子のように、翻訳効率は種の多様性を生み出すプロセスに影響を与えたり、影響を受けたりすると結論づける。

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