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クロマチン:ヒトゲノムの転写プロモーターおよびエンハンサーを明確に予測するクロマチンのパターン

Nature Genetics 39, 3 doi: 10.1038/ng1966

真核生物の遺伝子発現は、プロモーター近傍のヌクレオソームのアセチル化とメチル化をともなうが、ゲノム上の他の部位におけるヒストン修飾の位置や役割についてはよくわかっていない。ヒトゲノムの30Mbの領域にわたり、高解像度で、クロマチンの修飾状態について調べた。すると、活性のあるプロモーターには、ヒストンH3のLys4(H3K4)のトリメチル化が起こっており、エンハンサーには、H3K4のトリメチル化ではなく、モノメチル化が起こっていることがわかった。こうした明確なクロマチンのパターンを使って、新しい調節領域を同定するコンピュータアルゴリズムを開発し、200を超えるプロモーターと400を超えるエンハンサーを30Mbの領域内に予測した。このアプローチにより、別な方法で同定された調節領域の位置および機能を高い感受性と特異性で正確に予測し、また、カルニチントランスポーターSLC22A5OCTN2)の機能エンハンサーを新規に同定した。本研究の結果は、クロマチンの修飾と転写調節活性を結びつけることに貢献し、ヒトゲノムの機能注釈に関する新しいツールを提供するものである。

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