Analysis

クロマチン:出芽酵母のゲノム規模での解析からクロマチン修飾因子が転写に与える影響が明らかになる

Nature Genetics 39, 3 doi: 10.1038/ng1965

クロマチン構造は転写調節に重要である。しかし、クロマチン構造に影響を与える多くの因子が同定されているにもかかわらず、それらの因子が関与する転写プログラムはまだよく理解されていない。クロマチン修飾因子は、DNA結合性転写因子とともに転写の制御にかかわっている。高処理の実験法が実現できれば、さまざまな環境下や遺伝的条件下での遺伝子発現の定量化が可能になるばかりか、転写因子の結合部位のゲノム規模での同定も可能となる。我々は新しい方法を開発し、膨大量のデータを使ってクロマチン構造の転写への寄与を分析することを可能にした。本報告では、転写因子のはたらきが、特定のクロマチン修飾因子に依存することを評価するとともに、その特徴を明らかにする。出芽酵母S.cerevisiaeを使って、26の異なった研究から得られた、クロマチン修飾因子欠損株の170の遺伝子発現プロファイルの研究に我々の方法を適用した。その結果、クロマチン修飾因子と転写因子との間の既知の複雑な遺伝的相互作用の同定に成功し、また、これまでに知られていない多くの遺伝的相互作用が明らかになった。これは、真核生物におけるクロマチン構造の転写への寄与を、ゲノム規模で明らかにしたはじめての報告である。

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