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システムバイオロジー:MAPキナーゼ経路のクロストークと意思決定

Nature Genetics 39, 3 doi: 10.1038/ng1957

細胞は生きのびるために異なった環境刺激に対して特異的に応答する必要がある。これらの刺激の検出に関与するシグナル伝達経路は、同一または相同なタンパク質を共有していることがよくある。配線が交差しうるにもかかわらず、細胞の応答は特異性を示す。我々はモデルを用いて、同時に入るインプットと順序をもって入るインプットに対して、経路が特異的に応答できるような系(システム)が達成できることを証明する。我々はこれらの結果を、出芽酵母の高浸透圧経路と、フェロモンのMAP(マイトジェン活性化タンパク質)キナーゼ経路に適用した。これらの2つの経路はMAPKKKであるSte11と、相同なMAPK(Fus3とHog1)を共有するにもかかわらず、浸透圧およびフェロモンのシグナルを特異的に検出する。我々は、1つの細胞において、経路は一連のインプットに対して2つの安定状態を呈し、細胞はたとえ両方の刺激にさらされてもたった1つにのみ反応することを示す。本研究成果は、相互の阻害作用によって偽のクロストークが除外されることで、これらの経路が特異性を獲得することを示唆している。個々の細胞の違いが、意思決定の不均一さを引き出す。

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