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癌とDNAメチル化:幹細胞様のクロマチンパターンによって腫瘍抑制遺伝子はDNAの過剰メチル化や遺伝性のサイレンシングを受けやすくなる可能性がある

Nature Genetics 39, 2 doi: 10.1038/ng1972

成人の癌は幹細胞あるいは初期の前駆細胞に由来する可能性がある。遺伝子発現のエピジェネティックな調節は、これら初期細胞の正常な機能に不可欠であるが、癌では大きな異常が認められる。つまり、癌ではしばしば、プロモーターCpGアイランドの異常な過剰メチル化と、腫瘍抑制遺伝子や分化促進因子の転写のサイレンシングが認められる。我々は、そのような遺伝子であっても、胚細胞では(正常なものでも悪性のものでも)、成人の癌で認められる過剰メチル化DNAが一般に存在しないことを見いだしている。胚性幹細胞では、これらの遺伝子のプロモーターが、転写抑制の目印(ポリコーム群タンパク質によってLys27がメチル化されたヒストンH3(H3K27))と、転写活性化の目印(メチル化されたH3K4)の両方を受けており、その「両方向」のクロマチンパターンが介する「転写待機」状態にある。しかし胚性癌細胞では、さらに2つの重要な転写抑制の目印(ジメチル化されたH3K9およびトリメチル化されたH3K9)もつけられている。これらは両方とも、成人の癌でDNAの過剰メチル化に関連している。我々は、幹細胞あるいは前駆細胞における細胞のクロマチンパターンやこれらの重要な調節遺伝子の一過性のサイレンシングによって、腫瘍の発生や進展過程において、これらの遺伝子がDNAの異常な過剰メチル化や遺伝性の遺伝子サイレンシングを受けやすくなるのかもしれないという仮説を提案する。

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