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テロメア:哺乳類のテロメアおよびサブテロメアではテロメア長がそのエピジェネティックな修飾の状態を調節する

Nature Genetics 39, 2 doi: 10.1038/ng1952

哺乳類のテロメアはエピジェネティックな修飾を受けた構成的へテロクロマチンの特性を示す。本論文では、テロメア長がテロメア部分におけるヘテロクロマチンドメインの維持に及ぼす影響について検討する。テロメラーゼ活性が欠損しているため短いテロメアをもつTerc-/-マウスでは、テロメアおよびサブテロメア部分をなすクロマチンでは、ヒストン3のLys9(H3K9)とヒストン4のLys20(H4K20)のトリメチル化が減少していた。またこの領域で、CBX3の結合の減少、H3やH4のアセチル化の増加もおこっていた。Terc-/-マウスにおけるテロメア短縮と連動して、サブテロメア領域のDNAメチル化も減少していた。それに対して、テロメア反復配列結合因子1および2は、テロメア長に関係なく、テロメアに対して正常な結合反応を示した。これらの結果は、テロメア反復配列の減少がテロメアおよびサブテロメア領域のクロマチンに構造変化をもたらし、ヘテロクロマチンの特徴を失わせ、より「開いた」状態のクロマチンとすることを示している。本研究から得られる知見は、哺乳類のテロメアおよびサブテロメアにおける構成的へテロクロマチン構造を維持するには、テロメア反復配列が重要であることを浮き彫りにし、またヒストン修飾の変化からテロメア反復配列の数が数えられる可能性を指摘するものである。

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