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幹細胞とQTL:量的形質遺伝子latexinはマウスにおいて造血幹細胞集団の大きさに影響を与える

Nature Genetics 39, 2 doi: 10.1038/ng1938

若齢成体のマウスC57BL/6(B6)とDBA/2(D2)の間で造血幹細胞(HSC)数の違いを引き起こす量的形質遺伝子座を位置決定した。3番染色体の量的形質遺伝子座を互いに入れ換えたコンジェニックマウスにおいては、移入されたD2対立遺伝子座は、増殖と自己複製の亢進およびアポトーシスの減少によってHSC数を増加させた。一方、B6対立遺伝子座はこれとは逆の効果を示した。我々は、オリゴヌクレオチドアレイ、リアルタイムPCR、およびタンパク質ブロットを使って、latexin(Lxn)遺伝子の転写や発現の差が、これらの対立遺伝子座の違いに関連することを見いだした。latexinの発現はHSC数と逆相関しており、レトロウイルスベターを使ってLxnを異所的に発現させると幹細胞集団の大きさが減少した。我々は、Lxnの転写開始部位上流でクラスターになったSNPを同定した。このSNPのうち少なくとも2つは、幹細胞を調節する転写因子が結合する可能性のある部位に関連している。したがって、B6とD2対立遺伝子座間のプロモーターの多型はLxn遺伝子の発現に影響を与え、その結果、造血幹細胞集団の大きさに影響を与える可能性がある。

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