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味覚:Wnt-β-カテニンシグナル伝達は味覚乳頭の発生を開始させる

Nature Genetics 39, 1 doi: 10.1038/ng1932

茸状の味覚乳頭は舌の背側に規則的に配列している。味蕾は乳頭上皮から生じ、上皮の派生物としては珍しく、ニューロンとシナプスを形成し、神経伝達物質を放出するとともに、受容器電位と活動電位を発生させる。我々の五感の1つとして味覚は重要であるにもかかわらず、味覚乳頭や味蕾の発生に関する遺伝的な解析はおこなわれてこなかった。我々は、Wnt-β-カテニンシグナル伝達が発生中の茸状プラコードと味蕾細胞において活性化されることを見いだした。上皮のβ-カテニンを安定化する優性変異により、拡大した茸状乳頭と味蕾が大量かつ過剰に発生することになる。同様に、上皮のβ-カテニンを遺伝的に欠失させるか、異所的にdickkopf1(Dkk1)を発現させることによってWnt-β-カテニンシグナル伝達を抑制すると、茸状乳頭の形態形成の開始が阻害される。異所性の乳頭は安定化した変異型β-カテニンの存在下で神経支配を受けるが、異所的なDkk1の発現によって、舌上皮は神経支配を受けなくなる。したがって、Wnt-β-カテニンシグナル伝達は茸状乳頭と味蕾の発生に重要であることがわかる。この経路の調節異常は、味覚乳頭のパターン形成における進化的な変化に関係する可能性がある。

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