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運動失調症:SYNE1の突然変異は新しいタイプの常染色体劣性遺伝性小脳運動失調症を引き起こす

Nature Genetics 39, 1 doi: 10.1038/ng1927

この10年間で、遺伝性運動失調症の生物学的基盤は大きく解明が進んだ。脊髄小脳性運動失調症(SCA)に関する分子レベルの研究によって、優性遺伝性運動失調症の理解が深まった。また、常染色体劣性運動失調症の原因遺伝子が少し明らかにされた。たとえば、フリードリッヒ運動失調症、ビタミンE欠乏性運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、シャルルボア・サゲネー型痙性失調症、眼球運動失行をともなう運動失調症1型および2型の場合である。しかし、大部分の劣性運動失調症の原因遺伝子は不明のままである。また、全運動失調症のなかで最大20%をしめる純粋小脳性失調症の場合には、あまり研究されておらず、CACNA1ASPTBN2という2種類の優性原因遺伝子のみが明らかになっている。本論文では、フランス系カナダ人のコホートで見つかった新しいタイプの劣性運動失調症を報告し、SYNE1の突然変異がフランス系カナダ人における発症原因であり、SYNE1が劣性遺伝性純粋小脳性運動失調症の責任遺伝子として同定された最初の遺伝子であることを示す。

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