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ヌーナン症候群:生殖細胞系列でのSOS1の機能獲得性変異はヌーナン症候群を引き起こす

Nature Genetics 39, 1 doi: 10.1038/ng1926

ヌーナン症候群は、単一遺伝子により引き起こされる最も一般的な先天性心疾患であり、低身長、特徴的顔貌、学習上の問題および白血病の素因を特徴とする。チロシンホスファターゼSHP2をコードするPTPN11における機能獲得性変異は、ヌーナン症候群の約50%の原因である。SHP2はRAS-ERK MAPキナーゼ(MAPK)カスケードの活性化に必要で、ヌーナン症候群で認められる変異型はex vivoおよびマウスにおいてERKの活性化を増強する。KRASの変異はヌーナン症候群の5%以下を占めるが、これら以外の症例の原因となる遺伝子(群)は明らかになっていない。本論文では、PTPN11に変異のないヌーナン症候群の症例の約20%で、必須のRASグアニンヌクレオチド交換因子(RAS-GEF)をコードするSOS1にミスセンス変異を同定した。ヌーナン症候群に特異的な心臓の障害の有病率は、それがSOS1の変異が原因の場合と他の遺伝子が原因の場合とでは異なっている。ヌーナン症候群に関連するSOS1の変異は、RASおよびERKの活性化を増強する産物をコードするハイパーモルフである。我々の結果は、SOS1の変異型がヌーナン症候群の主要な原因であることを明らかにし、ヒトの疾患に関連したGEFを活性化する変異の最初の例を示し、また、RAS-GEF調節を理解する上で新しい手がかりを与えるものである。

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