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マラリア:熱帯熱マラリア原虫ゲノムのゲノム規模の変異とワクチン標的の同定

Nature Genetics 39, 1 doi: 10.1038/ng1924

マラリアの中で最も致死性の高い熱帯熱マラリア原虫ゲノムの塩基配列決定をおこなう目的の1つは、ワクチンと創薬標的の発見である。しかし、約60%の遺伝子の機能が未知のゲノムから、それらの標的を同定することはかなりの難題である。既知のマラリア抗原と薬剤耐性遺伝子の大部分は多型に非常に富み、種々の選択圧の影響を受けているので、選択を受ける特徴的な配列をゲノム規模に解析することにより、新しいワクチンと薬の候補を発見できる可能性がある。本論文では、熱帯熱マラリア原虫の3539の遺伝子(予測された遺伝子の約65%)の多型について探索し、多型に富んだ多数の座位と遺伝子を同定した。これらのうちのいくつかについては、新しい抗原をコードしていることが、ヒトの免疫血清を使って確認された。我々が収集したゲノム規模のSNP(約65%は非同義)と多型をもつマイクロサテライトおよび挿入欠失は、マラリア原虫の表現型のマッピングや原虫の集団研究に役立つ高解像度地図(約4kbに1個のマーカー)を提供するものである。また、病気の制御のために緊急に必要とされているワクチンの標的候補となりうる、新しい抗原についても報告する。

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