Letter

GATA-1の短縮型アイソフォームのみの産生を引き起こす遺伝性の変異は赤血球産生の低下に関連する

Nature Genetics 38, 7 doi: 10.1038/ng1825

造血にかかわる転写因子GATA-1のエキソン2における後天性の体細胞変異が、ダウン症候群と一過性の骨髄増殖性疾患および急性巨核芽球性白血病を併発する人に認められる。このような変異によって、GATA-1の完全長タンパク質の合成が阻害され、短縮型アイソフォームであるGATA-1sが合成される。マウスを使った実験から、GATA-1sが正常成体における巨核球産生や血小板形成、赤血球産生を支持することが示唆されている。本論文では、ある家系の2世代に存在する患者男性7人において、GATA-1のエキソン2に存在する変異332G→Cを報告する。この変異により、GATA-1の短縮型アイソフォームのみの合成が引き起こされる。患者男性の血液学的なプロフィールは、多くの場合、大球性貧血、正常血小板数、好中球減少を示す。つまり、GATA-1sの産生量の低下あるいは産生量の正常を示すデータのみでは、正常な赤血球産生を支持するのに十分でないことが、これらのデータから示唆される。さらにこの研究は、生殖細胞系におけるスプライシング変異のみで、ダウン症候群などがともに存在しない場合には、白血病が引き起こされないということを示す最初のものである。

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