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アジアヤセザルとアフリカヤセザルにおける消化器系のRNaseの並行適応の成因

Nature Genetics 38, 7 doi: 10.1038/ng1812

複数の進化系統において類似した形態的もしくは生理学的な変化が生じているのはごく一般的な事象である。このような並行変化は適応的であると考えられている。なぜなら、ある複雑な形質が何度も偶然によって作り出されることはめったにないからである。それにもかかわらず、適応的な並行アミノ酸置換が生じる可能性が議論されている。本論文では、タンパク質のアミノ酸配列のレベルにおける、適応的並行進化を確立するための4つの必要条件をあげ、これらの判断基準を用いてそれにあてはまる事例を示す。まず、膵臓リボヌクレアーゼをコードする遺伝子が、アジアヤセザルとアフリカヤセザルでは別々に重複されていたことを報告する。また、DNA配列の統計的分析、再構成された祖先タンパク質の機能分析、部位特異的突然変異誘発をおこなうことで、新規の遺伝子においてはダーウィン選択によって促進される並行アミノ酸置換によって消化能力が亢進されていたことを示す。これらの遺伝子はまた、ゆるい選択的制約の下では、別個に消化能力以外の機能を失っていた。このような結果は、全体的に見て偶然性はあるものの、自然選択の圧力下では、分子進化でさえ、ある程度は繰り返し起こり、また予見可能であることを示す。

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