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2型糖尿病の量的形質であるSorcs1のポジショナルクローニング

Nature Genetics 38, 6 doi: 10.1038/ng1796

我々は以前に、空腹時のインスリンレベルに影響を与える2型糖尿病の座位(T2dm2)を、C57BL/6(B6)由来のマウスとBTBR T+ tf/J(BTBR)由来のマウスを交雑したF2レプチン欠損肥満マウスを用いて、19番染色体の遠位部に位置決定した。B6の19番染色体の7 Mbの領域をBTBRのバックグラウンド(1339A系統)に導入したものは、T2dm2に連鎖するインスリンの減少を再現できた。1339Aマウスはin vivoでのインスリン分泌に顕著な障害があり、ランゲルハンス島が形態的に壊れていた。我々は、1339A由来の亜コンジェニック系統を用いて、T2dm量的形質座位(QTL)を、Socs1のプロモーターと第1エキソン、そして第1イントロンのほとんどを含む242 kbの部分に絞り込んだ。これは、1339A系統の遺伝子のなかで、挿入部位にB6とBTBR対立遺伝子をもつマウス間でアミノ酸の置換と発現量の違いがある唯一の遺伝子であることから、Sorcs1遺伝子の変異がT2dm2座位の表現型と関連するものと同定した。血管周囲細胞を微小血管に動員するのに重要な増殖因子である血小板増殖因子とSorCS1が結合することから、SorCS1は、ランゲルハウス島の血管を拡大したり維持したりする役割をしている可能性がある。我々のSorcs1遺伝子の同定は肥満によってもたらされる2型糖尿病の病態のもとになる経路の解明に寄与するものである。

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